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少し昔話を…
話は10年ちょっと前にさかのぼり、「つぼ治療院」の初代院長でもあります壷屋先生と共に最初の職場を辞め、現在の地にやってきたのですが、しばらくはいわゆる自己流(前の会社の社長から習ったこと+先輩から見聞きしたこと+自分なりの工夫+本で勉強したこと)でやっていました。結果が出ている時期もあれば、イマイチ振るわなかった時期もあり、色々と試行錯誤しつつ、もっと根拠と理論のしっかりした学術体系のやり方は無いものかと何年も模索しているうちに、いつしかこちらの本に辿り着きました。
こちらは大分県の名鍼灸師の「首藤傳明(しゅとうでんめい)」先生の著書で、本人も若いころは治療技術のことで大変苦労されたようで、何とか経絡治療を身に着けたいとの一心で修練されたようです。
もちろん今でも手元に置き、基本を忘れぬよう日々読んでおります。
ある程度時間をおいて読むと、また違った角度から内容が理解でき
「あの時はまるで分らなかったけど、今は結構〇〇分かってきたな!」とか
「あれ…こんなこと書いてあったんだな…」等々(笑)
話を本に戻すと、経絡治療の習得時に、参考にした書籍群のページがあり、そこに私の所属する団体でもあります「東洋はり医学会」のバイブル
・「経絡治療要綱」
・「わかりやすい経絡治療」
がその中でも特におすすめと載っていました。
そこで、会について調べるうちに、定期的に本部会・支部会と開催されているようで、私の近所でも新宿支部という方々が毎月一回活動されているようでした。
そして、会に所属していなくても、聴講生という形で参加可能とのことだったので、これはチャンスと思い、新宿の支部長の安場先生に連絡を取ってみると、ちょうどその週末に支部会を開催する予定とのことで、即参加の申し込みを致しました。
しかもしばらく休会中だった支部会を、久しぶりに再開するタイミングでの初参加!
今思えば、これも何かの縁に導かれていたのかも知れませんね。
参加当日も徹頭徹尾、分かり易い言葉での説明と、無駄をそぎ落としたスマート且つ効果的な施術を見せて頂き、目から鱗でした。
そして何よりも、支部の先輩方にあれこれ質問しても、明確な言葉で理論と根拠を持って教えて下さり、今まで参加した勉強会の講師とはまるで別物でした。
そこからこの会のやり方に傾倒していくのに、時間はかかりませんでした。何とかこの伝統的且つ無駄をそぎ落としたスマートなやり方、患者さんの体に余計な負担のない経絡治療をマスターしたいと強く思うようになりました。
この業界の残念な現実
鍼灸治療に関して言うと、師匠と呼べる人物や「これだ!」と思えるやり方に出会えず、中々己のスタイルを見つけられないいわゆる自己流に終始する治療家の人の方が、多いのかも知れません。もちろん、そのやり方で結果を出し続けられる天才肌の先生ならいいでしょう。オレ流がずっと通用し続けるほど、中々現実は甘くはないと思っております。
加えてこの業界、離職率もお世辞にも低いとは言えません。
残念ながら私の同級生の中にも、既に業界から去った人、鍼灸やその他の国家資格があるにもかかわらず、厚労省から禁止されている「危険な無資格施術」の専門家と化してしまった人も、複数名いるようです。
そういう風にならぬよう、自分の軸がブレないよう、この道を進んで行こうと思っております。
何年たっても底なしの古典鍼灸・東洋医学の世界に、どっぷり浸かっていられる私は幸せなのかも知れません。